エビリファイと自閉性障害

kyupinの日記 気が向けば更新 (精神科医のブログ)
2010年01月16日  00:22:50
エビリファイと自閉性障害


http://megalodon.jp/2010-0118-0903-47/ameblo.jp/kyupin/day-20100116.html




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エビリファイと自閉性障害


http://megalodon.jp/2010-0118-0903-47/ameblo.jp/kyupin/day-20100116.html

アメリカ、FDAは2009年11月、エビリファイの適応として、「小児(6~17歳)の自閉性障害による興奮性の治療」を認めている。主に自閉性のある患者さんの「自閉的なかんしゃく」いわゆる「疳の虫」に対してであろう。

大塚製薬のサイトから抜粋。

「ABILIFY®」 アリピプラゾール 
「小児(6~17歳)の自閉性障害による興奮性の治療」の効能がFDAから追加承認大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎)は、 11月19日(米国東部時間)に、「ABILIFY®」(一般名:アリピプラゾール、aripiprazole)の「小児(6~17歳)の自閉性障害による興奮性(攻撃性、自傷行為、かんしゃく、気分の易変性を含む)の治療」の追加適応に対する承認をFDA*から取得しました。

*FDA :Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)

自閉性障害は、言語・非言語コミュニケーション能力の低下、社会性の低下、また、行動が限られたり、関心や行動が反復化を示したりすることなどで特徴づけられ、10,000人に10-20人の割合で生じるとされる神経発達障害により生じる疾患です。自閉性障害には、その関連症状として、興奮性が知られています。興奮性は、他者への攻撃性、意図的な自傷行為、かんしゃく、気分の易変性などの症状として現れ、これらの行動障害は、自閉性障害の患者さんにとって苦痛となります。

「ABILIFY」の本効能の承認は、8週間のプラセボを対照とした二つの多施設無作為二重盲検比較試験の結果に基づいています。両試験で、ABILIFY投与群では、プラセボ投与群に比較し、興奮性の評価指標である、異常行動チェックリスト(Aberrant Behavior Checklist)の興奮性下位尺度スコア(ABC-I)が有意に改善されました。

「ABILIFY」は、大塚製薬が1988年に発見、開発し、2002年11月に統合失調症治療薬として米国で承認を取得、現在までに日本を含めた世界70カ国・地域以上で承認されています。「ABILIFY」は、ドパミン・システムスタビライザー(DSS:Dopamine System Stabilizer)と呼ばれ、従来の薬剤とは異なりドパミンD2受容体に対しパーシャルアゴニストとして働き、非定形抗精神病薬に分類されている薬剤です。(←大塚製薬のサイトが「非定型抗精神病薬」の字を間違っているのはご愛嬌だ)

先日も書いたが治療的には、自閉性障害は肥満を起こしにくいタイプの抗精神病薬から試みたほうが良い。非定型抗精神病薬ならば、エビリファイ、ルーラン、ロナセンなどである。

上記のサイトの記事では、エビリファイでは8週間でプラセボと有意の差が出たとされているが、この3剤以外に、定型抗精神病薬では、オーラップ、PZC、セレネースの少量なども可能性がある薬物といえるであろう。

実際には、これらの薬で1剤しか合わないというケースもありうると思う。エビリファイは単に1つの選択肢に過ぎない(実際、エビリファイで悪化する子供もいそうである)

なぜロナセンやルーランが挙がらないかと言うと、アメリカでは未発売だから(←重要)。

注意したいのは、広汎性発達障害の興奮系の病態にエビリファイを処方する場合、液剤のほうがやや優れていること。

臨床上、エビリファイは錠剤も液剤もほとんど効果が変わらないが、わずかに液剤の方が鎮静的であることに気付く。

定石的には同じ薬物でも錠剤と液剤では液剤の方が鎮静的になることが多い。これはセレネース液やリスパダール液でもそうだし、エビリファイも例外ではないのである。

大塚製薬もこのようなことをアナウンスしたいのであろうが、臨床試験的に相違が出そうにないし、あくまで臨床医の印象の範囲なのでできないのであろう。また、プロモーション的に「エビリファイは鎮静がない」ことがウリなのに、今さらそういう宣伝をしにくいのももちろんある。

上記の大塚製薬の自閉性障害への効能は、エビリファイの鎮静的な効果を示していると思われる。なぜなら、自閉性障害のかんしゃくは、いわゆる内因性の幻覚妄想などに由来するものとは異なるからである。

自閉性障害でのかんしゃくには、たぶんエビリファイでは注射剤が最も有効な気がする。(←注射剤は使ったことがないが・・)

エビリファイは賦活するタイプの抗精神病薬であるが、そういう欠点が液剤では多少緩和する。だから、たぶん興奮状態では液剤の方が若干、成功率が高まると思われる。また、予定の薬物量より少なめで良くなる面でもメリットがある。

広汎性発達障害系の人たちでは、より多動、活発なタイプでは、ルーラン、エビリファイ(液剤)が推奨できる。もちろん、セレネース、オーラップなどの少量も良い可能性があるし、注射ならばトロペロンの少量も良い。また気分安定化薬の併用も定番である。

より自閉性の高いカナータイプでは、行動の柔軟性を増し、賦活と言う面では、上記、ルーラン、エビリファイ、ロナセンは試みる価値が十分にある。

リスパダールは過食や体重増加、錐体外路系副作用が出やすい点で難しいし、ジプレキサもやはり過食、体重増加が出るので合わない可能性が高い。

ジプレキサが良くない理由は、多くのレセプターにほどほどに強く関与するため、副作用の出方が複雑で多彩になるからと思われる。もう少しシンプルな関わり方の方が自閉性障害の場合、たぶん良いのである。(極端な例はカタプレス)。

その理由の1つは、こういうタイプの患者さんは薬に敏感だからである。多彩なレセプターへの影響がかえって悪化の原因になったり、精神症状の複雑化に繋がる。

セロクエルは、やはり色々なレセプターに関与するが、すぐにレセプターから離れ、仕事を碌にしないタイプの薬であることと、錐体外路症状が少ないことで、まだ可能性があると言える。

今回はリフレックスがなぜ腰折れするのか?の一連のエントリとは異なるが、久々にエビリファイの記事を書いたついでにアップしてみた。

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by office-nekonote | 2010-01-18 09:16 | 発達障碍


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