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女性と薬物依存

女性と薬物依存
読売新聞
2009年11月11日(1)身近な男に勧められ乱用
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091111-OYT8T00804.htm 

2009年11月12日((2)虐待経験 治療を難しく
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091112-OYT8T00334.htm

2009年11月13日(3)地元離れ 悪い仲間切る

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091113-OYT8T00206.htm


2009年11月14日 (4)子どもの心 ケアへ「交流」

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091117-OYT8T00257.htm




女性と薬物依存
読売新聞
2009年11月11日(1)身近な男に勧められ乱用
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091111-OYT8T00804.htm
取り締まり重視、治療手薄

ダルク女性ハウスでは5人の女性が共同生活を送りながら、薬物依存からの回復を目指す=三輪洋子撮影

 著名人の薬物乱用事件が相次ぎ、薬物汚染の広がりが浮かび上がった。特に女性は依存症になりやすく、治療も難しいなど深刻な実態がある。民間のリハビリ施設「ダルク女性ハウス」(東京都北区)で薬物依存の女性を取材した。

 サチコ(38)が覚せい剤を初めて使ったのは18歳の時。遊び仲間の男友達に「エス(覚せい剤の隠語)やらない?」と誘われ、銀紙の上であぶって吸った。

 専門学校の学生時代は試験前に徹夜で勉強する時、就職してからは出勤前に「気分をシャキッとさせるため」、家や駅のトイレで少量使った。

 20歳代で付き合い始めたサーファーの男性は大麻を乱用しており、誘われて大麻を吸った。彼に太ったと言われた時に、覚せい剤を使えばやせられると思い、しばらくやめていたのを再び使った。みるみるやせ、うれしかった。

 借金が膨らんだ。「売人の運転手をやればお金をあげる」と言われ、夕方まで働いた後にせっせと運び屋を務めた。

 夜中に寝ておらず、ガリガリにやせていたが、仕事前に覚せい剤を使うと「ピピピピーッと元気になった」。職場で「何か使ってんじゃないの」と言われたこともあったが、自分ではやめられなかった。

 薬物に関して「乱用」「依存」「中毒」の3段階があることは、あまり理解されていない。国立精神・神経センター(東京都小平市)薬物依存研究部部長の和田清さんによると、1回でも使えば「乱用」だが、乱用を繰り返すうちに、薬物を使いたいという欲求をコントロールできない脳の異常状態になる。これが「依存」。サチコは「依存」だった。

 「中毒」とは、幻覚や妄想など精神的にも身体的にも異常な症状が出ることをいう。

 女性の薬物乱用の特徴は、身近な男性から誘われたり勧められたりして使い始めること。さらに依存症になりやすいことだ。

 厚生労働省の研究班による調査(2008年)では、全国の精神科医療施設が対応した薬物乱用者(男性193例、女性90例)のうち、依存症と診断された女性は50%。男性の29%をはるかに上回る。

 また、覚せい剤の乱用開始から依存症になるまでの平均期間は男性が2・5年~3・5年なのに対し、女性は1・9年~2・3年。女性の方が短期間で依存の状態に陥りやすいことが分かる。その理由は解明されていない。

 ダルク女性ハウス代表の上岡陽江さん(52)は「薬物乱用者は逮捕されれば一定期間は薬物をやめる。でも、依存症を治療しなければ、しばらくすると再び使いたくなり、乱用を繰り返す」と言う。

 フミコ(38)は6回、通算7年近くの刑務所経験があるが、服役中は「いかに反省しているか取り繕い、クスリをまた使うことだけを目標に過ごした」。出所すればその日のうちに、出所祝いと称して仲間と覚せい剤を使った。

 サチコもフミコも、現在はダルク女性ハウスに通い、依存症からの回復を目指してプログラムに参加している。

 2007年の覚せい剤取締法違反の受刑者のうち、2度目以上の入所者、つまり再犯者は女性で46%。男性(24%)の倍近い。和田さんは「薬物への対処は、現状では取り締まりが優先され、依存症の治療に目が向けられていない。薬物問題の解決には、依存症の治療と社会復帰の支援が必要だ」と話す。 (文中の当事者は仮名です)


2009年11月12日((2)虐待経験 治療を難しく
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091112-OYT8T00334.htm
まず自尊心の回復から

ダルク女性ハウスの壁には、参加者が心に浮かぶ不安を書いたメモが張ってある。言葉にすることが自分と向き合うことにつながる=三輪洋子撮影

 覚せい剤などの薬物乱用で6回も刑務所に入ったフミコ(38)は、小学校低学年の時から10年以上、父親の暴力と性虐待を受け続けた。父子家庭だった。

 高校を中退した17歳の時、初対面の男にシンナーをもらって使った。一瞬で記憶がなくなり、意識が戻ると「スッキリして楽になった」。シンナーを買いに行くと、売人の男がニッコリ笑ってくれるのがうれしかった。

 20歳代半ば、2回目の刑期を終えて出所した日に知り合った男に覚せい剤を勧められ、セックスの快感が高まることが分かると夢中になった。それまでのセックスの記憶は「とにかくつらくて痛い」というだけだったから「クスリで楽になってもいいじゃないと思った」。薬物で心にふたをしていた。

 「女性の薬物依存者の治療は、男性に比べ非常に難しい」。国立精神・神経センター(東京)の薬物依存研究部室長の松本俊彦医師は、そう指摘する。「うつ病や摂食障害など精神障害を併発していることが多い。彼女たちの背後には、親との離別体験や幼少時から虐待された経験など、過酷な生育歴が横たわっている」

 ヒロミ(42)も8歳の時から数年間、親類の男に性虐待を受け続けた。

 結婚して間もない20歳のころ、かつての性虐待の記憶が突然よみがえり、パニック発作を起こした。精神科で処方された薬を大量に服用すると、嫌なことはすべて忘れられ「薬ほど便利なものはない」とその時思った。

 覚せい剤を初めて使ったのは30歳代前半。2度目の結婚をして出産もしたが生活は苦しく、売春を繰り返していた。相手の5人に1人は覚せい剤を使っており、いつしか売春と覚せい剤はセットになった。

 家に帰ると疲れ果て、子どものための食事作りもつらくなった。そんな時に覚せい剤を打つと、テキパキと家事ができた。夫は馬乗りになって暴力を振るったが、覚せい剤を打てば痛みを感じない。子どもを大切に思っているのに、十分に手をかけてやれない罪悪感もあり、薬がなければ生活できなくなっていた。

 4年前の春、電気、ガス、水道が止められたゴミだめのようなアパートから保健所に電話した。「私、覚せい剤依存です」。子どもの6歳の誕生日の2日前だった。

 厚生労働省の研究班の調査(2006年)によると、女性の薬物乱用患者の3割以上が、幼い頃に虐待された体験がある。男性(2割)よりも高い割合だ。

 松本医師は「感情表現を抑え込まれて生きてきた彼女たちが、自分の考えや思いを言葉で表現できるようになることが大切。それが、薬物に依存する心の回復に必要なプロセス」と話す。

 ヒロミは、薬物依存者のためのリハビリ施設「ダルク女性ハウス」(東京)に入寮した。1日3回のミーティングに参加する。最初のころ、ヒロミはいいかげんな話をして、泣いたりわめいたりしていた。ある日、息子の話をするミキ(39)の話を聞いて、もらい泣きした。自分のことを話せるようになったのは、それからのことだ。

 フミコは、ダルク女性ハウスのプログラムに参加しながら夜間高校に通う日々。最近、薬物依存の専門家の集まり、性暴力の加害者男性の自助グループなどで自分のことを話す。「話しながら、自分のことを大事に思っている。この感じが大事」という。(文中の当事者は仮名です)


2009年11月13日(3)地元離れ 悪い仲間切る

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家族も自身見つめ直す

ダルク女性ハウスの寮は、マンションの一部を借り上げて運営している。飛び降り防止のため、ベランダのフェンスは二重になっている(東京都内で)=三輪洋子撮影

 薬物依存者の家族は、わかりやすい解決策を探しがちだ。仕事や学校に復帰させたり、福祉などの仕事やボランティアに就かせたりしようとする傾向がある。しかし、依存を断ち切るのはとても難しい。我が子が薬物依存になった時、家族はどうしたらいいのだろうか。

 ユウコ(25)は中学1年の時からシンナーや睡眠剤、大麻、覚せい剤など「薬物なら何でも使い」、売人もしていた。母親に精神科病院に入院させられ自助グループにも通わされたが、「うわべだけで、薬物をやめるつもりはなかった」。生まれ育った町では人間関係が濃密で、薬物をやめることは裏切り行為だった。

 母親は講演会などに足を運び、薬物依存について調べた。無理やり娘を地元から引き離し、「ダルク女性ハウス」(東京)に送り込んだ。薬物依存者は自分では仲間を離れることがなかなかできないからだ。

 ダルクに来て、ユウコは薬物の人脈を断ち切ることができた。まだ薬物を使いたいと思うことがあるが、「ここ(ダルク)の仲間を裏切れない」という。「地元にいたまま、自分一人ではやめられなかった」

 ダルク女性ハウスでは、家族や友人との電話や手紙のやりとりは原則禁止だ。人によって様々だが、少なくとも1年は、治療中心の生活を送ることが、再使用のリスクを下げるという。

 この間、家族には薬物依存者の家族会に参加するなどして、周囲に助けを求めることを勧める。家族は薬物依存に目を奪われ、家族の中に問題があっても気付かないことがよくあるためだ。

 18歳から覚せい剤を乱用してきたサチコ(38)は10年前、母親(56)に覚せい剤を乱用していたことを告げた。娘の告白に放心状態の母親を前に「ざまあみろ」と思った。

 暴力を振るう父親、殴られる母親の姿を見て育った。父親が寝入るのを待って、荷物を持って母親と逃げる夜を繰り返した。別居後、母親は「暴力を止めてくれなかった。冷たい子ね」と、サチコに怒りをぶつけた。離婚したのは自分のせいではないかと、幼心に思った。

 両親への罪悪感、逃げ回った生い立ちへの劣等感、そして重苦しい母親の存在は「覚せい剤を使うとどうでもいいと思えた」。

 サチコに薬物乱用を告白された母親はしばらくぼう然としていたが、知人の勧めで精神保健福祉センターに相談に行き、家族会にも参加した。同じ悩みを持つ親と会うと、恥ずかしくて隠しておきたかったサチコのこと、また暴力を振るわれていた自分自身のことも話すことができた。自分が変わらなくては、娘も変わらないとわかった。

 「今までごめんね」「かわいそうなことをしたね」。サチコに謝ることができたのは、サチコが逮捕され、31歳でダルク女性ハウスに入寮する直前だった。「お母さんが変わろうとしているのがわかった時、ざまあみろという思いは薄れた」

 サチコは今、薬物を使わない生活を6年続けている。(文中の当事者は仮名です)


2009年11月14日 (4)子どもの心 ケアへ「交流」

http://www.yomiuri.co.jp/komachi/feature/20091117-OYT8T00257.htm

親以外の大人が支援

触れ合うことで安心する。子どもがいる薬物依存症の女性は、母親としての自己肯定感も低いという(ダルク女性ハウスで)=三輪洋子撮影

 10月半ばの週末、東京都内の公共施設に、女性とその子どもたち十数人が集まった。子どもは小学生もいれば未就学児、乳児もいて年齢は様々。母親たちが調理室を借りてチーズケーキを作り始めると、一緒にクリームを混ぜたり、他の子どもと駆け回ったりして過ごした。

 これは「ダルク女性ハウス」(東京)が月に1度開いている、薬物依存症の女性とその子どものための「母子プログラム」。お菓子作りや遠足などを親子で一緒に楽しむ。薬物依存者のママ同士、友人となるのが狙い。同時に、子ども同士が互いに知り合う機会を持つという目的もある。

 この日、スタッフとして参加していたミキ(39)は覚せい剤を15年近く乱用し、6年前からダルク女性ハウスに通っている。この間、長男(17)との関係に悩み続けてきた。

 長男が小学生の時、ミキは覚せい剤を使った後に路上で騒ぎを起こし、警察ざたになった。警察署で長男は「お母さん、変な薬使ってない?」と警察官に尋ねられたが、長男は「見たことない」と答えていた。帰宅後、長男は「ママ、元気ないね」としか言わなかったが、この時ミキの薬物乱用に気付いたようだった。その後、思春期を迎えると、長男はことあるごとに恨みつらみをミキにぶつけるようになる。

 ミキがダルク女性ハウスに通って間もない頃、中学生になった長男は学校に行かなくなった。ミキが「ママを困らせないで」と言うと、長男は「お前がヤクチュウだったからだ。おれだって好きにさせろ」と暴れた。学校を抜け出したり授業を妨害したりした。

 ミキ自身、小学生で両親が離婚し、相次ぐ転校といじめに遭うという不遇な子ども時代を過ごした。自分の子育てもうまくいかない悔しさを、ダルク女性ハウスのミーティングで話した。

 代表の上岡陽江(はるえ)さんは「母親がダルクに通って少し落ち着いたから、長男は反抗したり甘えたりして、子どもとして振る舞えるようになった」と話した。これまで長男が妹の面倒を見るなど親の役割を果たしてきたことに、ミキは気付いた。

 長男をダルク女性ハウスに連れて行くと、親以外の大人と付き合う中で、次第に落ち着きを取り戻した。「親子だけの関係よりも、風通しがよくなった」とミキは思っている。

 子を持つ薬物依存症の女性は、精神的・肉体的に、また経済的にも子育てに困難を抱えていることが多い。そして子どもは依存症の母親と一心同体のような関係になり、社会に助けを求めようとしない傾向があるという。

 ダルク女性ハウスの顧問医で心療内科医の須賀一郎さんは「薬物依存の親を持つ子どもは、思春期に不登校や非行など問題行動を起こすことが多いが、そんな時に支えてくれる親以外の大人が必要だ。海外では、薬物依存者だけでなく、家族のサポートも行われている」と話し、薬物依存症女性の子どものケアの必要性を訴えている。(月野美帆子) (おわり)

by office-nekonote | 2010-01-20 09:37 | アディクション


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