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ギャンブル依存症:苦悩する人たち/熊本

ギャンブル依存症:苦悩する人たち/上 56歳男性のケース /熊本
毎日新聞 2010年5月27日 地方版
http://megalodon.jp/2010-0528-2216-17/mainichi.jp/area/kumamoto/news/20100527ddlk43040525000c.html
ギャンブル依存症:苦悩する人たち/中 82歳の父親「育て方悪かったのか」 /熊本
毎日新聞 2010年5月28日 地方版
http://megalodon.jp/2010-0528-2213-42/mainichi.jp/area/kumamoto/news/20100528ddlk43040532000c.html



ギャンブル依存症:苦悩する人たち/上 56歳男性のケース /熊本
毎日新聞 2010年5月27日 地方版
http://megalodon.jp/2010-0528-2216-17/mainichi.jp/area/kumamoto/news/20100527ddlk43040525000c.html
◇自暴自棄で借金地獄

 熊本市の男性(56)は約5年前に自己破産した。消費者金融やヤミ金融などから約1500万円の借金を重ねていた。それまで家族に負担を頼んだ総額は数千万円。反省しない様子に5回以上も息子から殴られた。男性を借金地獄に追い込んだのはパチンコだった。

 短大を出て車販売会社に就職した。営業で外回り中「時間をつぶそう」と軽い気持ちでパチンコ店に入ったのが始まり。無我夢中で気付けば初任給5万円の半分以上をつぎ込んでいた。負ければ「どう暮らしていけばいいだろうか」と落ち込んだ。しばらくパチンコからは遠ざかったが酒や女性におぼれた。20代半ばで借金は百数十万円になり、母に肩代わりしてもらった。29歳で妻と離婚した。

 「どうでもいいや」。自暴自棄になって、パチンコも再開した。初めは1回5000~1万円で、月に2~3回のペース。消費者金融への毎月の返済はできていた。徐々にエスカレートし1回で5、6万円をつぎ込み、月50万円使ったことも。9万円を元手に10万円にすると実際のもうけは1万円なのに「10万円勝った」と思い込んでしまう。翌日6万円負けても「まだ勝っている」と思った。

 05年2月、再び母からヤミ金への借金80万円を肩代わりしてもらう。パチンコが原因で1カ月後、再び同じ業者から100万円を借りた。家から逃げ出し、自殺を考えながら4カ月の車上生活をした。公園で子供を連れて歩いている親の姿が目に入った。「借金をしていなかったらこんな生活があったのか」。我が身を振り返った。

 実家に帰り自己破産の手続きを取った。兄に勧められ菊陽病院(菊陽町)に入院した。病院に行く前は反発もしたが「ギャンブル依存症」と聞いて「病気だったのか」と妙に安心した。院内の自助グループに参加し、同じ問題を抱えている人たちと話し合う中で、自分が大切にしてもらっていたのに周りの人を傷つけてばかりだったことに気付いた。

 現在は毎日のように各地の自助グループで語り合う。昨年は全国の自助グループが集まる大会で司会を務めた。「ただギャンブルをやめるだけでは苦しい。成長していきたい」と、新たな道を歩き始めている。

  ◇  ◇

 ギャンブル依存症はWHO(世界保健機関)も認定している精神疾患で、患者は県内だけでも1万人以上いると言われる。一方で十分な理解が進んでおらず「意志が弱い」などと厳しい目を向けられることも多い。患者や家族、専門家の話からギャンブル依存症にどう向き合うべきなのか探った。【遠山和宏】

ギャンブル依存症:苦悩する人たち/中 82歳の父親「育て方悪かったのか」 /熊本
毎日新聞 2010年5月28日 地方版
http://megalodon.jp/2010-0528-2213-42/mainichi.jp/area/kumamoto/news/20100528ddlk43040532000c.html
 「目の前が真っ白になったようだった」。熊本市の男性(82)が長男(49)から借金でどうにもならない状態になっていることを聞かされたのは約10年前。パチンコスロット(パチスロ)が原因だった。長男は約400万円の借金を抱え自己破産したが、それでもパチスロをやめられなかった。「育て方が悪かったのだろうか」。父は自らを責めた。

 長男とは別居しており、私生活の状況は知らなかった。借金の話を聞いて腹が立ったが何とかしなくてはいけない。肩代わりもしたが追いつかなかった。長男が姿を隠し、ヤミ金業者が家に来て行方を聞くこともあった。「知りません」と言うしかなかった。

 約7年前に本人自ら「自分はおかしい」と言いだした。ギャンブル依存症の専門外来がある菊陽病院に電話し、行くことが決まった。医師から「スリップ(再びギャンブルをすること)しても怒ってはいけない」「借金の肩代わりをしてはいけない」と言われた。しかし「何度もギャンブルを繰り返すのは意志が弱いからではないか」「息子だから何とか援助したい」と思った。

 ギャンブル依存症の家族が通って悩みを話せるような自助グループは当時なかった。妻(77)はわらにもすがる思いで薬物依存症患者の家族が集まる自助グループに通った。共感できる話ばかりではなかったが、少しでも参考になることがあればという思いだった。

 約3年前、熊本市内でギャンブル依存症家族のための自助グループが始まり、夫婦で参加するようになった。「パチスロに行ってしまった」と聞いて「また行ったのか」と責めたこともあった。なかなか本人の言葉を信じられない時期もあった。それが、周りの人の話を聞きながら「がみがみ言っても同じ」と思えるようになった。ギャンブルに行ったとしても怒らず「何が引き金になったのだろう」と一緒に話し合いができるようになった。

 長男は約3年前からパチスロから遠ざかっているという。それでも毎週、夫婦で自助グループに行き続けている。「ここに来ることで他の家族にも同じような悩みがあると分かり、安心できる」。男性は言葉をかみしめるように話した。【遠山和宏】

by office-nekonote | 2010-05-28 22:17 | アディクション


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