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松本俊彦のこころと向き合う:/1 アルコールと暴力犯罪

http://mainichi.jp/shimen/news/20150409ddm013070015000c.html

松本俊彦のこころと向き合う:/1 アルコールと暴力犯罪

毎日新聞 2015年04月09日 東京朝刊


 川崎市で起きた中1男子殺害事件は、アルコールの影響が一定の関与をしている可能性がある。リーダー格とされる18歳の少年は、以前から酒癖の悪さが知られ、事件直前にも飲酒していたことが分かっているからだ。もちろん私は「今回の事件はすべてアルコールのせいだ」などというつもりはない。ただし、この機会にアルコールと暴力について確認をしておくことは大切だと思う。


 アルコールと暴力犯罪との密接な関連を示す研究は、世界中に枚挙にいとまがない。例えば、傷害および殺人事件の40〜60%、強姦(ごうかん)事件の30〜70%、DV(ドメスティックバイオレンス)事件の40〜80%にアルコールが関与しているとの報告がある。この割合は、窃盗や詐欺などの非暴力的犯罪に比べて著しく高い。

 酩酊(めいてい)が暴力を起こしやすくする原因の第一は、アルコールの脳に対する直接的な影響だ。酔っ払うと人は誰しも、気になったことばかりにとらわれ、周囲や背景の情報に気が回らなくなってしまう。これが罰則に対する不安を弱め、熟慮を欠いた大胆な行動を起こしやすくするのだ。

 興味深い実験がある。2人の被験者にコンピューターゲームをやらせ「勝者は敗者に電気ショックを与えなければいけない」というルールを設定する。そうすると、被験者にアルコールを与えた場合、しらふの状態で実施した場合よりも攻撃性が増し、相手に容赦なく電気ショックを与える傾向が見られたという。この現象は、川崎の事件にみられる残虐性に一脈通じている気がする。

 成長過程にある子どもの場合、アルコールの影響は酩酊だけにとどまらない。飲酒するために歓楽街に出入りするなかで、反社会的集団と交流し、暴力を肯定、あるいは許容する価値観を身につけてしまう可能性がある。あくまでも統計学的な知見だが「18歳時点でアルコール乱用が認められる子どもは、成人後に何らかの罪をおかす危険性が著しく高い」という報告がある。

 ともあれ忘れないでほしいのは、件数だけをいえば、アルコールが絡む暴力事件や交通事故の数は、危険ドラッグよりもはるかに多いということだ。(まつもと・としひこ=国立精神・神経医療研究センター部長)

by office-nekonote | 2015-04-09 10:00 | アディクション


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