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もうひとりの被害者~配偶者暴力が与える子どもへの影響~

もうひとりの被害者
~配偶者暴力が与える子どもへの影響~
http://www.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/contents/seminar_080108.html
平成19年度 配偶者暴力防止講演会(平成19年11月8日実施)
もうひとりの被害者
~配偶者暴力が与える子どもへの影響~
講師:信田さよ子さん(原宿カウンセリングセンター所長・臨床心理士)

 東京ウィメンズプラザでは、配偶者暴力が子どもに与える影響や、社会における配偶者暴力被害者とその子どもへの支援について考える講演会を開催しました。
 当日は140名余りの参加をいただき、大きな反響がありました。
 講師の信田さよこさんの講演内容の一部をご紹介します。

<講座要旨>
■DVを目撃することが子どもにとっては心理的虐待

 現在、配偶者暴力(以下「DV」)は世界的に、それを目撃する子どもへの被害が大きく問題視されています。かつては、夫が妻を殴る、父親が子どもを殴ることを「手を上げる」といい、愛情や躾(しつけ)、体罰として当たり前のようにとらえられていました。しかし、1990年代に入るとそれらは急速に人権侵害の問題として共有化されるようになり、「児童虐待防止法」(2000年)「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(いわゆる「DV防止法」)」(2001年)が制定されました。2005年に「児童虐待防止法」が改正された際には、DVの目撃が子どもへの心理的虐待になることが法的に定義づけられました。




・児童虐待とDVのオーバーラップ

 私は1970年代からアルコール依存症の家族に関わってきましたが、その家庭は暴言と暴力に満ちていて、今から思えば児童虐待と高齢者虐待、そしてDVの巣窟でした。当時は多くの援助者は、アルコール依存症の症状として暴力をとらえていたのです。
 暴力が起きている家族を援助していくには、家族観の転換が必要です。つまり、家族とは愛情共同体ばかりでなく、権力と暴力に満ちた場にもなりうるということ、親密であるがゆえの危険性を認知することが必要なのです。「法は家庭に入らず」の姿勢では被害者の生命と安全は守りきれません。家族のプライバシーよりも、被害者の基本的人権である生命と安全を優先するべきでしょう。
 アメリカのS.M.Rossの研究によると、父親から母親への暴力の虐待頻度が増加すると、子どもへの虐待も増加する傾向があり、夫が50回以上妻に暴力をふるっていれば、その家庭のほぼ100パーセントに児童虐待が起こっていると報告されています。

 また別の調査でも、母親が父親からDVを受けていた男女の半数以上が、父親から身体的虐待を受けており、性的虐待や情緒的虐待、ネグレクトなどの虐待を受けている人もいます。ここから、母親のDVを目撃し自身も虐待を受けている子ども-DVと虐待が「オーバーラップ」している子どもの存在が見えてきます。
DVと虐待は同時多発的に発生しており、分離することは不可能です。DVと虐待を区別せず、統一的な視点での被害者救済の取組みが必要なのです。
・DVにさらされた子どもへの影響

 DVにさらされた子どもの相当数は、暴力を受けた場面を繰り返し思い出す「再体験」や、そうした体験を思い出すような場面に近づくことができない「回避」、過敏症やいらいらや不眠などの「過覚醒」といったPTSD的反応を起こしています。特に13~15歳という思春期になると、これまでは優等生だった子どもの様子がガラッと急変することがあります。また、学童期には同性のモデルである父・母がDVの加害者・被害者であることからいじめの加害者や被害者になりやすく、抑うつ的になったりします。
 さらに、暴力的な家庭に育った青年は恋人との関係で暴力的になる(いわゆる「デートDV」)可能性が大きく、DV加害者男性の75%は、子どものころに父から母へのDVを目撃しているといった研究結果も出ています。

 乳幼児にも、発達の遅れやアタッチメント(愛着)・基本的信頼感に関する問題が見られたり、“自分が悪い子だからパパはママを殴る”と考えたりするようになります。たとえ0歳児であってもDVにさらされると緊張や恐怖といった危機的反応を起こします。実際、80年代にアルコール依存症の夫のDV被害にあっている母親の話を聞いたのですが、当時6ヶ月だった子どもが、夫の留守中は笑ったり泣いたりするのに、夫が帰宅するとぜんぜん泣かなくなり、おとなしくなってしまうので怖くなったと言いました。赤ちゃんも敏感に反応するわけですね。私は0歳児でも影響を受けると思っています。

 このように、DVの目撃による子どもへの影響は大きく、母親とともに加害者である父(夫)の被害者なのです。最大の責任はDV加害者の夫にあります。このことを忘れてはいけません。そして、母親の安全と子どもの安全・健康はつながっているという視点から援助していくことが大切です。

■DVと虐待の包括的援助
 -母と子を支援するためのプログラム

 2004年に内閣府の委嘱事業として東京都が試行した「DV加害者更生プログラム」の開発・実践に関わった臨床家を中心とした研究団体「RRP (Respectful Relationships Program)研究会」は、私もメンバーの一人になっておりますが、2006年6月にDVと児童虐待の包括的援助を学ぶために、カナダのオンタリオ州ロンドン市のCenter for Children&Families in the Justice System(司法システムにおける子ども家族センター)を訪問しました。

同センターでは、DVと児童虐待の包括的援助が実践され、あらゆる心理学の知識を総動員してプログラムが組まれています。

「母親の安全が子どもの安全・健康につながる」という考えに基づき、母と子への同時進行的グループプログラムが実施されています。「コンカレント・プログラム(concurrent program)」といい、親としての役割を遂行できるよう緻密に構成され、児童相談所と女性センターのスタッフが協力して運営されています。

父親に対しては「DV加害者更正プログラム」と「ケアリング・ダド・プログラム(caring dad program)<父親業のプログラム>」が実施されています。

 この3つのプログラムの実施者は相互に交流し、どのプログラムにも関わることになっています。DV被害者支援の経験をもたない人は、「DV加害者更正プログラム」を実施することができません。

 このように、DVにさらされて育つ子どもへの視点をもって初めて、DVと虐待の包括的援助の必要性が生じるのです。日本ではDV被害者である母親への支援でせいいっぱいというのが現状ですが、少しずつ民間団体によってDV加害者プログラムやDV被害者のグループカウンセリングなども実施されるようになってきています。

 今後、日本におけるDVと児童虐待の包括的な援助をしていくためには、臨床家、児童福祉機関、警察、学校、女性センター、シェルターなど、あらゆる立場からそれぞれがつながりながら取り組んでいくのが最善かと思います。

信田さよ子さんのブログ
2008年01月08日
ほっと一息ついてもいい?
http://s03.megalodon.jp/2008-0111-2123-13/www.hcc-web.co.jp/blog/archives/2008_01.html
by office-nekonote | 2008-01-11 21:21 | 暴力


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